石の臍
2017 / 石 / W13 D7 H3 cm
小惑星探査機「はやぶさ」の開発者によると、惑星から採取した石粒を解析することで地球の誕生の歴史を明らかにできるという。ごく微小なスケールの物質が膨大な情報を持っているという状態は、生命における遺伝子を思わせる。その様な「宇宙・地球・人類の始まりと歴史」に興味を持ったことをきっかけに、本作を制作した。 物理学において宇宙の姿やその誕生のメカニズムを解明し、物質の基本的な構成要素を理解するための学説に「超弦理論」というものがある。この理論を土台に考察し、四次元は「-360度」という概念で表現できるという自身の仮説を立てた。「-360度」は、遺伝子と身体の延長でありながら個別の生命体でもあり、同時間・同位置に二つの生物が存在しているという妊婦と胎児との位置関係を思わせるため、タイトルにはそれを暗示する「臍」という言葉をつけた。この作品以降、「遺伝子の暗喩」として石を作品にしばしば用いている。
