Akashicbug

最初に

2012年、宇宙にまつわる多くのニュースがありました。
5/21 金環日食
6/4 部分月食
6/6 金星の太陽面通過
7/15 木星食
8/14 金星食
ヒッグス素粒子発見
オリオン座右肩のベテルギウス爆発説
 特にベテルギウスの爆発の話が印象的で、これは「ベテルギウスがすでに爆発して星として死を迎えている可能性があるが、遠く離れすぎているためにまだ生きていた頃の光が届き続けていて、つまり生死がはっきりとわからない。」というものでした。
 ちょうどそのニュースを聞いた頃に、近所に住んでいて時々顔を合わせたり話したりしていたおばあさんが、三ヶ月ほど見かけない内に癌が発覚し亡くなっていたということを知らされました。 これは私にとってベテルギウスの話と重なる部分がありました。光は隣人の死に関する情報のようでした。 はじめは、死はすべての生き物に同時に与えられる運命であるため、死についてショックを受けるべきではないと私は思いました。しかし、彼女の魂がすでに彼女の体を離れているのを見たとき、私は心をコントロールする方法がないことを理解しました。

とにかく死ぬのに、なぜ私たちはこの世にうまれて芸術作品を作るのでしょうか?そのような質問の結果、私はかつて芸術作品を作る感覚を失いました。 それから私は宇宙についての科学の本を読みました。そうすれば、私たちはどこから来たのか、どこへ行くのかを理解できると思いました。 しかし、本にはこの質問に対する答えや解決策はなく、むしろ、”正しさ”の存在が粉々になって霧散してしまいました。 例えば昔は海は平らだと思われていたし、太陽は地球のまわりをまわっていると思われていました。科学によって何かが言語化された時、それは仮説の上に仮説を重ねていったその先端の一点や、人間の尺度による解明なのではないか、という「疑惑」から逃れることはできませんでした。 さらに悪いことに、宇宙の美しさは私に挑戦しました。つまり、宇宙よりもさらに美しい芸術作品をどのように作成できるか、ということでした。

そのような状況から逃れるために霧散していったものの存在と本の内容をつなぎ合わせてひとつのものにまとめた結果、「アカシックバグ(2016)」という作品が発生しました。
これが私の仕事の始まりです。